メーカーと消費者の橋渡しを有限会社まるいち
取締役

塚本 亮悟さんRyogo Tsukamoto

福岡県生まれ、錦町育ち。高校在学中にアメリカへ留学。サンフランシスコの大学を卒業後、2005年に帰国。東京でIT関係の仕事に従事する。13年に地元の錦町に戻り、祖父の代から経営する総合衣料品店「有限会社まるいち」入社。妻と2人の子どもと4人暮らし。

祖父の代から経営をスタート
地域から愛される総合衣料品店

「掘り出し物がたくさんあって楽しい」「驚くほど手頃な商品に出合うことがある」―。
総合衣料品店『暮らし生き活きゆうゆうライフ まるいち』に寄せられる口コミの通り、店内にはリーズナブルな暮らしの衣料や肌着、靴下、寝具、生活雑貨といった品がびっしり。普段着やスーツ、ぬいぐるみ、子どもの文具、手ぬぐい…と、つい買いたい物を忘れて、ワクワクしてくる。

塚本亮悟さんの祖父が創業し、作業着の行商からスタートした同店。1980年代には総合衣料品店としてのスタイルを確立し、現在も家族で経営している。塚本さんの母親は婦人服、父親が紳士服や作業着、塚本さんがタオルや靴下などの仕入れを担当。また、取締役として経営に携わりながら、売り場の整理や商品の補充、顧客対応など、日々の店舗運営も行っている。

地域のニーズに合わせ
顧客満足度を高める経営を

総合衣料品店の経営は、これまで経験してきたIT企業とは異業種。しかし「データ分析を通じて売り上げの見込みを立て、次回の仕入れに備えて予算を立てるなど、これまでIT企業で培ったノウハウも役立っている」と笑顔を見せる。
特にやりがいを感じるのが、地域のニーズに合わせた商品開発や価格設定によって、顧客の満足度を高めること。「日々接客しているので、お客さんの声やこういうのがあったらいいをメーカーに伝えている。そこから新たな商品が生まれ、メーカーとお客さんとの橋渡しができた時は、心からうれしい」と塚本さん。地域に寄り添いながら生み出された商品は、50代女性を中心に好評だ。

若い世代へのアプローチ通し
祖父の代から続く店に新しい風

一方で若い世代へのアプローチなど、経営の課題にも目を向ける。毎週、商材が入れ替わる中、これまでは紙媒体の広告で新商品などを消費者へ伝えてきた。しかし若い世代のほとんどは、SNSで情報収集する時代。塚本さんはLINEの公式アカウントを導入し、情報発信に率先して取り組んでいる。登録者も着実に増え、店のにぎわいにつながっているという。
「新しいことを取り入れていかないと、衰退する一方。今後も力を入れていきたい」。
塚本さんのこれまでの経験や知識が『まるいち』に新しい風を吹かせているようだ。

錦町の自慢は人情味
一致団結して町の活性化へ

錦町の魅力は「なんといっても人の温かさ」と胸を張る塚本さん。他の町村からも「錦町の人たちは仲がいい」と言われるほど、団結力の強さが自慢だ。
錦町の商工会青年部は、行政や地域住民と連携し、8月の夏祭りや2月の産業フェスタなどを開いている。青年部が祭りを主催するのは珍しいとか。祭り当日は町内外から約5000人の来場者があるほどのにぎわいぶりだ。
塚本さんも2024年まで同部に所属し、部長を17年から2年間務めるなど、地域の発展にも貢献している。「大変だがみんな人情が厚く、上の世代の人も手伝ってくれるからありがたい」とにっこり。
プライベートでは2児の父親。塚本さんは「子どものころに経験したお祭りなど、町での楽しい思い出を引き継いでいきたい」と力を込める。
今後も塚本さんの店や地域に対する思いが、錦町の発展につながっていきそうだ。